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最高裁判所第三小法廷 昭和27年(オ)1197号 判決 1954年8月31日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

本件上告理由は別紙のとおりである。

原審は、上告人が昭和二五年四月本件動産を渋江一行に売り渡し即時その引渡をなすとともに、同人の寄託によりこれを保管しているものであること、渋江は同年五月右物件を被上告人に売り渡したがその引渡は行われなかつたことをそれぞれ確定し、被上告人の所有権に基づく右動産の引渡請求を認容したものである。右事実によれば上告人は被上告人に本件物件を譲渡した訴外渋江に代つて一時右物件を保管するに過ぎないものであつて、かかる者は右譲渡を否認するに付き正当の利害関係を有するものということは出来ない。従つて民法一七八条にいう第三者に該当しないと解すべく原判旨は相当であつて論旨は採用することができない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 井上登 裁判官 島 保 裁判官 河村又介 裁判官 小林俊三 裁判官 本村善太郎)

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